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 山田カレンさんの70,000hit目前企画!!で小狼×さくらで甘々をリクエストしました。後、前回の記事で文章がオーバーしてしまったので、この記事に続きを載せさせて頂く事にします。*この小説は大切な頂き物なので、お持ち帰りはご遠慮下さいませ。


拍手[12回]


lie lie lie2


「いらっしゃいませ~。ご注文をどうぞ~」

眩しい程のスマイルに、さくらも笑顔を返す。ずらっと並んだ様々なドーナツを見つめて、端から選んで行く。

手もとのキャリーケースからそわそわとする気配が伝わってくる。興奮して声などあげないうちにと、さくらはどんどん注文していく。

「エンゼルクリームと、ふわふわカスタードと、クッキードーナツと、ダブルチョコレートと・・・」

「ストロベリー生ドーナツと、抹茶ショコラと、ハニーディップ、あとこっちのミニミニドーナツ六個入りも!」

どんどんトレイに積み上がって行く。色とりどりのドーナツ達。さくらはキラキラした目でお会計をして、少し重いトレイを手に、端の方の席に腰を下ろした。

キャリーケースから顔を出して、いまかいまかと待っているケルベロスへと、こっそりドーナツを渡した。

さくらも、小さな口でかぶりつく。甘くておいしいドーナツに、心も表情もやわらかくなる。

(おいしー・・・)

表向きには一人だから、声には出せない。さくらは一つ目を平らげて、アイスティーを一口。ふぅ、と息を吐く。

そして。テーブルの上にある携帯電話に、目をやる。

ランプは、光ってない。

(そうだよね。まだ、お仕事中・・・だよね)

また一つ、かぶりつく。ケルベロスが「次!」というように手を出しているので、そちらにも一つ渡してやる。

砂糖の甘さと、ふわふわの生地が美味しい。さくらの表情が、また和らぐ。

チラ、と。携帯電話を見る。期待しては、凹む。

目の前のドーナツを平らげながら、さくらの心は幸せと落胆を行ったり来たりする。

小狼と一緒にいられない寂しさを、ドーナツの美味しさで紛らわせている。

ぽっかりと空いた心の穴を埋めるように、ひたすらに甘いものを口にして。美味しい、幸せと、暗示をかけるように。

(でも、本当は。全然埋まらないの・・・)

目の前には、誰もいない。

いつもなら、小狼が笑ってこっちを見ている。美味しそうに食べるさくらを見て、幸せそうに微笑んでいる。

「美味しいね」って、一緒に食べたい。

ここに、今。あなたにいてほしい。

―――ブー、ブー、ブー。

急に、現実に引き戻された。

テーブルに置いてあった携帯電話が、小刻みに震えている。着信を知らせるランプ。画面に表示された名前に、さくらは衝動的に手を伸ばした。

(小狼くん・・・!)

―――ピッ。

『・・・さくら?今、家にいるのか?』

待ち望んだ、彼からの連絡。声を聞いて、さくらは泣きそうになった。

しかし次の瞬間、焦る。

(ドーナツ、口いっぱいに頬張っちゃった・・・っ!!)

タイミングが悪い事に、喋れない程に口の中にドーナツがあった。電話に出る前に飲み込むとか、そういう判断が出来る程余裕がなかったのだ。

『さくら?どうした?』

急いで飲み込む。途中、喉に詰まりそうになって、急いでアイスティーを口に入れる。

『なにかあったのか!?』

電話の向こうでは、なにやら激しい誤解が起こっている。早く答えなきゃ。そう思って、さくらは慌てる自分を落ち着かせる。

だけど。

今度は、勝手に涙が出てきた。色んな気持ちがぐちゃぐちゃになって、泣けてくる。

寂しかった気持ちも、怒っていた気持ちも、幸せだった気持ちも。わけがわからなくなって、さくらは嗚咽を漏らす。

『さくら、泣いてるのか・・・!?なにがあった!?』

電話越しに、小狼の焦った声が聞こえる。

ドーナツは全部飲み込んだけれど、涙で声が出なくなった。こみ上げる嗚咽を堪え切れない。苦しい。

『・・・今日、一緒にいられなかった事。怒ってるのか・・・?』

沈んだ声音。小狼も、気にしてくれていた。それは嬉しい。素直にそう思える。

だけど、その言葉で思い出してしまった。放っとかれて寂しかった気持ち。我慢していた気持ち。

小さな燻りが、心に生まれて。さくらは、自分でも思いがけない言葉を口にしていた。

「うわき・・・してた・・・」

『・・・・・・浮気!!?』

「お返し、だもん・・・」

ひく、と嗚咽交じりにそう言うと、電話の向こうは途端に静かになった。

困っているのか。怒っているのか。

(どっちでもいい。私の事で、少しでも悩んでほしい・・・)

自分でも意地悪だと思うけれど、止められない。さくらは流れる涙を拭って、小狼の答えを待った。

しかし、次の瞬間。

キャリーケースから飛び出した橙色の相棒が、携帯電話を奪い取って思い切り叫んだ。

「駅前に新しく出来たドーナツ屋にいるでっ!!早く来んと、小僧の分も全部わいが食ってまうからな―――!!」

「けっ、ケロちゃんっ!!」

―――ブツッ。

そこで、通話は切られた。

さくらはケルベロスの口を慌てて塞いで、その時に携帯電話を落としてしまった。その間に、小狼の方から切られていた。

幸いな事に、ケルベロスの存在は気づかれなかったようだ。何事かと目を向ける人達に「すいません」と愛想笑いをして、さくらは逃げるように席を立つ。

残ったドーナツは先日と同じように、お土産用に包んでもらった。

熱の冷めやらぬ頬を抑えながら、家への道を早足で歩く。途中、キャリーケースから控えめな声で、ケルベロスが話しかけてきた。

「待ってないでええんか?多分、小僧急いでこっちに来とるで!?」

「・・・っ、だって、私バカな事言っちゃったもん・・・!小狼くん、絶対に怒ってる!!」

「ほんなら、尚更会わんとあかんやろ」

信号が赤になる。日曜日の駅前は、なかなかの混雑だ。信号待ちの人混みの中で、さくらはこみ上げる涙を拭う。

逃げてもどうにもならないことは分かってる。だけど、会うのがこわい。自業自得だけど、今更になって自分の言った事を激しく後悔していた。

(小狼くんを、困らせたかった。私の事いっぱい心配してほしかった、なんて。・・・子供みたいな我儘だ・・・)

自己嫌悪で、泣けてくる。

信号が、青に変わる。

歩き出す人の波に押されるように、足を踏み出した。

その時。

(・・・!!)

人混みの中で、彼を見つけた。こちらへと迷いなく向かってくる。

顔は、少し怖い。額には汗が浮かんでる。スーツ姿で、仕事場からそのまま来てくれたんだろうと分かった。

キャリーケースから、小さく「はやっ」という声が聞こえた。

小狼は、横断歩道の真ん中で、さくらの腕を掴む。戸惑い何も言えないでいると、そのまま強く手を引かれ連れて行かれる。

人通りの多い通りから、路地裏へと入る。

周囲に人がいない事を確認して、小狼が結界の呪文を発動させた。

他の誰にも見つからない、切り離された空間で、二人。―――否、二人と一匹。

小狼は真っ直ぐに、怖い程の迫力で見つめる。逸らす事も許さないような強い眼差しに、さくらは息をのんだ。

「浮気したって・・・?」

低い声の問いかけに、さくらはパッと顔を逸らす。だけど小狼の手が顎を掴んで、無理やりに上向かされた。

(・・・やっぱり怒ってる!!)

ぎゅっと目を瞑って、ふるふると首を横に振る。

小狼の気配が、動く。

あ、と思った一瞬で―――唇を塞がれた。

「・・・んんっ」

荷物が落ちる音。ケルベロスが入っているキャリーケースと、ドーナツの入った袋が同時に地面に落ちた。

さくらは抵抗しようと顔を振るが、小狼の手が強く抑えていて逃げられない。

唇を食むように、何度も口づけられる。

長いキスのあと、やっと解放されて。乱れた吐息に、頬が熱くなる。

小狼は、舌で唇をなぞって、笑った。

「・・・甘い」

その言葉の意味を。

一拍置いて悟って、さくらは真っ赤になって口元を抑えた。

(ドーナツの砂糖だ・・・!ずっと口についたままだったの・・・!?)

「・・・で?誰と浮気したって?」

小狼は、もう怒っていなかった。どこか楽しそうに笑って、さくらを見ている。きっと最初から、彼には嘘だと分かっていたのだろう。

恥ずかしくて、悔しくて。ぼろぼろと涙が零れるのも構わず、さくらは小狼の胸を叩いた。

「ドーナツと浮気してたんだもんっ!!小狼くんが・・・お仕事と浮気ばっかりするからでしょ!?」

「う、浮気って・・・」

「小狼くんより、ドーナツの方が甘くて幸せなのっ!小狼くんなんか・・・小狼くんなんか・・・っ」

―――続く、『キライ』の言葉は、どうしても言えない。嘘でも、やっぱり言いたくない。

子供のように泣くさくらを、小狼は呆れたように、愛おしそうに見つめて。強く抱きしめた。

「・・・敵わないな、本当に」

「うっ、うぅ・・・!小狼くんの、ばか・・・」

「ごめん。ごめんな」

宥めるように背中を撫でる大きな手。胸に顔を埋めて、小狼の心臓の音を聞いているうちに、だんだんと落ち着いてきた。

「ばか」と「ごめん」を、何度も繰り返す。そうしてさくらの嗚咽も、小さくなってきた頃。

小狼の手が、さくらの涙に濡れた頬を撫でて。優しくキスを落とした。

額と額をこつんと当てて、至近距離で小狼が言う。

「・・・焦ったんだぞ。これでも」

「最初から、嘘だって分かってたんでしょ?」

「・・・分かってた、けど。それでも焦るだろ。ここに来る間にも、想像だけでどうにかなりそうだったんだから」

言いながら、唇に頬に、何度もキスを落とす。

「・・・困らせて、ごめんね?」

「ったく・・・。俺を困らせられるのなんて、世界でさくらしかいないんだからな」

言葉とは裏腹に、小狼はなぜか嬉しそうに笑う。

さくらの唇を柔く噛むように口づけて、真剣な顔で言った。

「嘘ついてもいいし、我儘言ってもいい。・・・そのかわり、一人で我慢して泣いたりするな。その方が辛い」

小狼の言葉に、さくらはまた涙を滲ませる。知世が言っていた事の意味を、今更に理解する。

―――『さくらちゃんからの我儘なら、李くんはきっと喜びます』

涙をこぼさないようにして、さくらは精一杯に笑顔を見せる。

小狼に思い切り抱きついて、その耳元で内緒話のように囁いた。

「・・・今度からは、我慢する『嘘』じゃなくて、甘える『嘘』をつくね」

 

 

  

 

 

ややあって。

さくらは思い出す。もう一人、ここにいる存在を。

「けっ、ケロちゃん・・・!!」

おそるおそる、キャリーケースを覗いて。さくらは予想外の光景に、固まった。

小狼に捕まった時に、お土産用のドーナツの袋を落としていた。それがちょうどケルベロスの目の前に落ちて―――。

たくさんあったドーナツは、今は膨れたケルベロスの腹の中。

満足そうに寝息を立てる相棒に、さくらはワナワナと拳を震わせた。

「ケロちゃんっ!!私のドーナツ・・・!!全部食べたわね―――!?」

さくらの怒号に飛び起きたケルベロスは、マズイという顔で目を逸らした。

「楽しみにしてたのにっ!酷い―――!!」

「ええやないかっ!ドーナツはみんなのもんやっ!わいの前に落ちてきたんやからわいのもんや―――!!」

二人の終わらない戦いに、小狼は溜息をつく。

「俺も食べたかった・・・」

 

 

此度さくらの浮気相手となった、憎らしくも甘く美味しいドーナツ。

笑顔で二人が頬張る事になるのは―――また数日後のお話。

 

    

End

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年齢:20代

血液型:A型

星座:山羊座

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身長:149cm(身長低いな。)

誕生石:ガーネット(柘榴石)

誕生守護石:オニキス(黒メノウ)

好きなパワーストーン:ローズクォーツ(紅水晶・紅石英)

好きな食べ物:チョコレート,チョコレート菓子,洋菓子,和菓子,甘い料理,辛い料理,酸っぱい料理,こんにゃく,鮭,豚肉,鶏肉,寿司,中華料理など

好きな飲み物:コーヒー(昔より、平気になった。),抹茶,紅茶,ハーブティー,はぶ茶,緑茶

苦手な食べ物:牛肉

好きな男性のタイプ(出会いは求めてません。):駄目な事は駄目って、言ってくれる人。例として、コーヒーで苦そうな味な物をあたしが選んだ場合、「俺がそれを頼むから、お前が選ぶなよ。」って言ってくれる方が良いです。ジャニーズアイドルで理想に近いのは、TOKIOの末っ子の松兄と智也です。後、嵐の相葉ちゃんかなぁ!?

好きなジャンル:ファンタジー,ラブコメ,ミステリー,サスペンス,オカルトなど

好きな漫画:少女漫画(カードキャプターさくら,学園アリス,好きです鈴木くん!!,セーラームーンシリーズなど),少年漫画(エデンの檻,金田一少年の事件簿,國崎出雲の事情,女王蜂,名探偵コナン,境界のRINNE,クロスゲーム,ひぐらしのなく頃に,ロザリオとバンパイア,BLOODシリーズ[BLOOD+・BLOOD-Cなど],ポケットモンスターシリーズなど)

好きな小説:放課後シリーズ(探偵の女の子が三原千春みたいな子です。),少年探偵セディシリーズ(主人公が江戸川コナンみたいな女の子です。)など

好きなドラマ:恋して悪魔,花より男子,金田一少年の事件簿など

好きな女優・男優:中山優馬(アイドルで、パーソナリティーもやっている。今の優馬君も、幼い頃の優馬君も、大好きです。),小池徹平(ミュージシャンでもある。),仲間由紀恵,松嶋奈々子,知念侑李(優馬君と同じジャニーズのユニット3人組のNYCの子です。侑李君は天使だとあたしは思います。因みに、優馬君は小悪魔だと思います。で、山ちゃん(山田君)は両方だと思います。),あっちゃん(前田敦子),ゆうこちゃん(大島優子)など

好きなアイドルグループ:嵐(基本、全員好きです。),TOKIO(TOKIOでお気に入りは松岡さんと城島さんと長瀬君),KinKi Kids,V6,中山優馬w/B.I.Shadow,NYC(NYCでお気に入りは優馬君と侑李君),AKB48(最近、お気に入りはAKB48のメンバーで、演歌歌手でもある岩佐美咲ちゃん)など

好きな声優:くまいもとこ,松本梨香,坂本真綾,高山みなみ,林原めぐみ,折笠愛,佐藤ゆうこなど

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