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CCSなどの二次創作(よろず)と一次創作ブログです。後、リンクは一次創作サイト様又は同人サイト様のみ、リンクフリーです。
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 <李小狼、京都にゆく!~大隅旅館でアルバイトをする~>の第2話がきりが良くなったので、こちらに載せます。

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[chapter4:輝と美希也]
「何や、どないしたんや、2人共。あぁ、それより、輝はん?」
「どうかしたんですか?」
「その子、小狼はんやろ?」
「へぇ、そうやけど。それがどうかしはったんですか?」
「中国の香港に居はるんちゃうかったんか?」
「いや、僕は存じ上げまへん。本人に聞いてみたら、どうですかぁ?」
「そうか。小狼はん、何で、日本に居るんや?」
「・・・これには、深い訳が色々と有りましてですね、」
 小狼は言い掛けて、黙ってしまう。
「小狼はん、まさか、慎一郎はんに苛められてるんとちゃうやろな?」
「・・・・・」
 小狼は花枝さんに言われ、俯いた。
「何や、そうなんか。で、2人共、こんな時間まで、何をしとったえ?もう、8時やで。」
「楡崎さんとずっと、話し込んでました。・・・へっ?8時ですか!?あぁ、夕食、すっかり忘れてたわぁ。小狼はんは具合が悪そうなんで、花枝さん、横になれる場所が在りますか?」
「うちには離れが在るわ。そこの部屋で、横になってもええわ。」
「・・・いえ、大丈夫です。」
 小狼の顔色が少し、青白い。しかし、ちゃんと、歩けているので、問題無さそうだ。
「そうか。まぁ、お茶でも、飲んでゆっくりしよし。後、まだ、夕食の残りが有るけど、食べるか?千代菊のやけど。あの子、帰る時間守らんし、晩飯抜きでも、ええやろ。まぁ、1日位、抜いたかて死なんわ。」
「えっ!?それはお断りします。」
 2人は困った顔で答えた。
「どうせ、慎一郎はんにご馳走して貰うんにゃろ。要らんわ。」
 花枝さんは呆れた顔で言った。
「それは俺のせいです。」
「はて?これは何え?」
 花枝さんは小狼が差し出した封筒を見て、不思議に思う。
「千代菊さんの花代です。本当はお仕事の時間の弁償代です。」
「まさか、弁償代どすか。そんなもんは要らんえ。事情はさっき、千代菊ちゃんから電話で聞いたわ。」
「今回は慎一郎はんの花代から引いとくわ。ちょっと、悪さ過ぎるからな。まぁ、たまには、お灸を据えとかんとアカンえ。」
「そんなの困ります。」
「千代菊ちゃんから聞いたえ。それは友人のお土産代やから、大事に使う様にって言っとたえ。それに旅行代やろ?」
「はい、仰る通りです。さっき、気付いたら、帰るお金が手元に無いのに気付いて、銀行に引き出しに行こうと思ったら、気付いたら、辺りは真っ暗でした。それに、大隅旅館の息子さんに人手が足りないので、美希也君が見付からないから代わりに、旅館の仕事を手伝う様に言われました。」
「顕太はんがそんな失礼な事を言ったんか。」
「はい、そうです。俺はやるって言ってしまったので、仕事はちゃんと、やります。」
 小狼の話を聞いて、2人は呆れた顔をしている。
「はぁ、アホだろ。もう、しゃあないから、僕も手伝うわ。」
「そんなん、輝はんが庇う事やないえ。もう、うちを知らんわ。あぁ、そうや、千代菊ちゃんに喋り方がそっくりやし、うちを助けると思って、影武者を頼まれてくれへんか?」
「か、影武者!?」
 2人は驚いた顔で言った。
「花枝さんまさか、コイツが千代菊さんの正体を知ってるんですか?」
「バレてしもたんです。まぁ、この子にバレても、うちはかましまへん。まさか、アンタも?」
「はい。千代菊さんが可笑しな事を言い出したんです。慎一郎さんが輝さんを庇ったら、ミキちゃんが怒るって。」
「そんなんで、分かったんか。アンタ、鋭いなぁ。」
 花枝さんは小狼に対して、驚いた顔で言った。
「僕が美希也さんに余りにも、容姿が似てるので、千代菊さんが怒らはったんです。」
「そうなんか。それはただの嫉妬やな。うちは千代菊ちゃんに似た人がこの世に居るとは思わんかったわ。まぁ、おもろそうやから、輝はん!千代菊ちゃんと1度だけ、入れ替わってみいひんか?」
「あの花枝さん、その事は男衆の宮坂さんと美容師の匡さんに相談なさってからの方がええと僕は思いますよ。」
「俺はコイツが千代菊さんの格好をするは反対です。」
「何でや?今まで、千代菊ちゃんとミキが同一人物やって、慎一郎はんにバレんかったえ。」
 小狼は首を振る。
「いや、実はあの人には、とっくに、バレているんじゃないですか。」
「ほんなら、何で、千代菊ちゃんに言わんのや?」
「彼女の口から、本当の事を言ってくれるを待っているんですよ。」
「そんなん、嘘に決まってるえ!うちは絶対に、信じひんで!」
 花枝さんは小狼の言った本当の事を信じるのが怖いのだ。
(あの人、千代菊さんの事も、美希也さんの事も好きなんじゃないだろうか。だから、本当の事が言えないんじゃないのか。)
「いや、バレているのは小狼さんの勘違いちゃうかと僕は思うんです。楡崎さんは美希也さんが書いた物を千代菊さんが書いたと思っている様なんです。」
「何や、そうやったんか。」
 花枝さんは輝に言われ、ホッとする。
「さっきの嫌っていうのはそう意味じゃないんです。花枝さん、大阪弁と京言葉は違うし、流石に、バレると思います。僕は東京に住んでますが、生粋の大阪人です。」
「だから、喋り方が可笑しかったんだな。」
「せや。東京では、嫌われるぅと思ったから、標準語で喋ってたんや。東京の人って、大阪人、嫌いなんやろ。」
「いや、それは昔の話やえ。」
「そうなんですか。知りまへんでした。」
 2人にお茶を淹れている花枝さんに輝は言われ、申し訳なさそうな顔をする。
「実はコイツ、千代菊さんみたいな事をやっている様なんです。」
「へぇ、そうなん。聞かせてくれへんか。」
「やっても、バレても、ここみたいに廃業にはならないんです。」
「なら、ええやんか。何がそんな都合、悪いんえ?」
「いや、アイツは本来、跡継ぎ候補ではなかったんですよ。親族から、凄く、恨まれているみたいなんです。それを決められたのは彼の祖母の夕霧先生です。」
「夕はんがどすか。」
「はい、うちの祖母が初めての男の子だったので、嬉しかったんだと思います。祖母いえ、師匠が僕を跡継ぎすると言い出すと、叔母達は突然、反対し出しました。うちの雨寺家の家督を継ぐのは昔から、長女の子供と決まっています。僕は三女の子供だから、当然、反対されるのは当たり前の事です。それで、僕はこう考えました。椿姉さんが跡継げば、丸く収まるじゃないかと思ったんです。」
「結局、アカンかったんやな。」
「はい。」
 輝は花枝の発言に対して、悲しそうな顔で答えた。
「そうだ!肝心な事を忘れてました。白峰家のメイドのゆづさんなら、きっと、分かって下さる筈です。今は僕の味方なんです。まぁ、口は悪いんですけど、良い人です。」
「どうして、それを黙ってたんだよ?」
「あの人、面倒臭がり屋で不安だから、言い出せなかったんだ。嫌な事は嫌とはっきり言う人だからな。」
「ほう、話は分かったえ。けど、どないするんえ?」
「あの人に言ったら、とんでもない事になるぞ!」
「それって、慎一郎はんの事やろ。まぁ、慎一郎はんの耳に入ったら、絶対に、秘書の宗方はんに調べさせはるやろな。」
「花枝さん!まさか、その秘書さんって、楡崎さんとたまに、一緒に居る方の事ですか?」
 小狼が花枝さんに聞く。
「アホか。他に、誰が居るんや。」
「すみません。」
「椿姉さんが楡崎さんに余計な事を喋ってなければ、良いんですけどね。」
 輝は困った顔で言う。
「もし、椿姉さんが楡崎さんに言ってたら、李君のせいだからな。」
「ごめん。俺はあの人の性格を完全に忘れたわ。絶対に、あの人なら言うな。その時はお前の代わりに、その問題の舞妓さん達に茶道を教えてやっても良いぞ。」
 小狼の話を聞いた花枝さんは驚いた顔をした。
「へぇ、小狼はんは茶道が出来はるんどすか。それは凄いな。まぁ、それはええんやけどな、あの妓等は確か、慎一郎はん派の筈やえ。それに、小狼はんの事は知らんえ。」
「花枝さん、俺はそれでも、良いんです。」
「いや李君、それはアカン。ここの屋形の仕込みの亜紀さんが怒らはるで。多分。その人は楡崎さんのファンだからな。」
「なっ、何だってぇ!?」
「それは輝はんの言う通りえ。その亜紀ちゃんに先程、うちが買い物を頼んだえ。もう、そろそろ、帰って来るわ。」
 花枝さんは困り果てた顔で言った。
「おかあさん、ただいま!あれっ!?ミキちゃん、帰ってたん?」
 仕込みの亜紀ちゃんが顔を覗かせた。
「あの、おかあさん、その子は誰なん?まさか、ミキちゃんの友達?」
 亜紀ちゃんは花枝さんに驚いた顔で聞いた。
「そうえ。それに、この子はあの有名な占い師の李夜蘭の息子さんえ。」
 小狼は花枝さんに言われ、複雑な顔をした。
「えっ?そうなんどすか。いや、全然、似てへんけど。おかあさん、それは本気で言ってはるんどすか?」
 亜紀ちゃんは小狼の顔を見ながら、花枝さんに言った。
「・・・それはホンマや。それに、この子はミキちゃんじゃ、あらへんえ。」
「この子がミキちゃんやなかったら、じゃあ、この子は誰なんどす?どう考えても、ミキちゃんやろ。」
「あれっ?亜紀ちゃん、帰ってたの?」
 亜紀ちゃんの後ろに、美希也が立っていた。
「ミ、ミキちゃん!?じゃあ、この子は誰なん?」
「あぁ、その子は僕の友達の雨寺輝さん。」
「何や、そうやったんや。ホンマ、ミキちゃんにそっくりや~。」
「・・・そうですか。」
(亜紀さんは面倒臭い人やな。僕は正直言って、苦手だな。)
 輝は亜紀ちゃんに対して、呆れた顔で言った。
 小狼はいきなり、立ち上がる。
「何処に行くんだよ?」
「お前の荷物をホテルから、取りに行って来る。」
 小狼は花枝さんに挨拶をすると、置屋「吉乃家」を出て行った。


[chapter5:輝の秘密]
(何だ、アイツ。まさか、この美希也って奴と2人で、話をしろと言うんか?無理だよ、そんなん。何を話せっていうんだよ?)
 輝は途方に暮れていた。
(小狼さん、僕はこの人と話す事は何もないよ。というより、僕は千代菊から、余計な事をするなって、言われてるんだよ。)
 美希也は輝の横顔を見ながら、思った。
「亜紀ちゃん、何処行くの?」
「うちは後片付けが残ってるから、行くわ!」
 亜紀ちゃんは台所に、急いで行ってしまった。
「僕も、手伝うよ!」
「アンタはええ。片付けはお母ちゃんと亜紀ちゃんでやるさかい。」
「お母ちゃんそれより、僕の夕御飯は?」
「知らんえ、そんなもん!」
 花枝さんは呆れた顔で、美希也に言った。
「ミキ、アンタは最近、うちに内緒で、夜中に何処へ、行っとるんや?」
「それは僕じゃなくて、千代菊だよ。」
「そんなんどっちゃでも、良いえ。まさか、うちには言えん事なんか?」
「楡崎さんにたまに、呼び出されるんだよ、千代菊が。」
「また、かいな!」
 花枝さんは楡崎の名前が出ると、困った顔で言った。
「お母ちゃんそれより、輝さんの姿が見えないんだけど。」
「亜紀ちゃんに付いて行ったんやな。」
「お母ちゃん、変な事、考えてるでしょ?」
「はて、何の事か、さっぱり、分からんえ。」
「もう、惚けないでよ。あの人に千代菊の格好をさせるのは絶対に、反対だよ。」
「何や、バレとったんかい。」
「お母ちゃんの考えてる事がバレバレだよ。楡崎さんの事、騙そうと思ってるんでしょ。僕はそんなの絶対に、嫌だよ。」
「いやぁ、あれは良いアイデアやと思ったんやけどな。アンタがそう言うなら、仕方ないえ。けど、あの子、学校でも似た様な事、やっとったんとちゃうか?」
「僕もそう思うよ。あぁ、そういえば、楡崎さんから、千代菊宛にこんなメールが有ったんだよ。」
 美希也は花枝さんに楡崎の事を報告する。
「で、何て?」
「実はね、文化祭で茶道部がお茶会をやろうとした時に、女子部員が1人突然、風邪で休んじゃって、」
「アンタの言いたい事は解ったえ。その輝っていう子に女の子の格好をさせて、お点前させたんにゃろ。それから、その可愛い娘は誰やって、話になったんやろ。それで、辞めるに辞めれなくなったと。」
「うん、そうだよ。けど、僕とは違って、正体を自ら明かした上でやってるんだよ。だけど、正式な部員じゃないよ。部活の掛け持ちは禁止の筈だよ。僕の学校はそうなってるしね。本当は、輝さんは文芸部で、確か、他にもやってた筈だよ。そう演劇部の娘役っていっても、脇役だよ。だけど、文化部は掛け持ちしても、良いんだってさ。」
「2つも、掛け持ちして、何考えてんねんや。あの子、アホちゃうか。ましてや、3つも、部活をやるとか有りえへんわ。幾ら、掛け持ちしても、ええと言っても、それは限度が有るえ。今直ぐ、辞めさせた方がええんとちゃうか?」
「僕もそう思うよ。それは流石に、不味いよね。」
 美希也は輝に対して、呆れていた。
「やっぱり、思った通りやったわ。椿さんの裏切り者。」
 2人の話が輝に聞こえてしまい、輝は土鍋を持って、居間に現れた。
(今日の夕食は鍋だったんだ。僕の為に、温めて来てくれたんだ。)
 美希也は嬉しそうな顔で思った。
(今日のお鍋は寄せ鍋だったんだ。今年は寒い日が多いから、お鍋を食べる機会が増えたね。輝さん、僕のせいで怒ってるよ。もう、ニレは一体、彼に何がしたいんだよ?)
 美希也は楡崎に対して、困った顔をする。
「お母ちゃん!楡崎さんにお灸を据える必要が有りそうだね。確かに、悪さが過ぎるよ。」
「ミキ、明日は千代菊ちゃんのお座敷は休みやで。」
「それは知ってるよ。明後日の千代菊のお座敷で、楡崎さんの予約はどうなってるの?」
 美希也は花枝さんに聞いた。
「ええっとなぁ、慎一郎はんのお座敷は10時に入ってるわ。それがどないしたんえ?」
「さっき、お母ちゃんの言ってた事、やっぱり、実行しようと思うんだけど、良いかなぁ?」
「それはええんやけど、輝はんに聞かん事には、それは実行出来ひん話やな。」
「・・・僕はええですけど、あの李君が何て言うか、分からんわ。」
 輝は困った顔で言った。
「まぁ、そんな事、輝はんが気にしはる必要は無いえ。うちらに任しとき。宏ちゃんと匡さんに頼んどくわ。」
 花枝さんは輝に言った。
 そこへ、小狼が戻って来たものだから、輝は凹んでいた。
(あ~あ、もう、お仕舞いだ。花枝さん、だから、言ったのに。)
 輝には小狼が何を言うのか、大体、想像が出来ていた。
「俺はこの事には絶対に、反対だぞ。」
「小狼さん!じゃあ、こうしませんか。僕はいつも通り、千代菊でお座敷に行くよ。で、輝さんは仕込みさんの格好をするのはどうでしょうか。丁度、僕の学校は職業体験の時期だから、可笑しくないと思いますよ。輝さんは職業体験で来た高校生の女の子という事にすれば良いと思います。それで良いよね、お母ちゃん?」
 美希也の母親の花枝さんはニッコリと微笑んだ。
「それはええ考えやな、ミキ。その趣旨で行こか。お店の前に女の子のみ、職業体験を募集しとる事を貼っとくわ。」
 花枝さんは早速、その準備に取り掛かったのだ。
(この人達はとんでもない恐ろしい事を思い付くなぁ。俺はそういう発想は流石に、思い付かなかったぞ。)
「ホンマに、それでええの、美希也君?」
「良いんじゃないですか。実は先程ね、亜紀ちゃんが咳をしてました。本人に聞いてみたら、風邪を引いたのかもって言ってましたよ。それより、お2人共、どうかされたんですか?」
 美希也は複雑な顔をしながら、顔を見合わせている輝と小狼に訊ねた。
「いや、実はここに来る前に、小狼が僕に、『草履では流石に、足が疲れるだろ。俺が抱えて行ってやろうか?』って言ったんや。そのやり取りをシャレードのマスターに見られてしまったんだ。」
 輝は困った顔で、美希也に言った。
「うわぁ、それは不味いですね。」
「俺達、マスターに恋人同士だと誤解されたかもしれない。あきらが言うには、呆れた顔で店に戻って行ったそうだ。」
「従兄の宏ちゃんは多分、気にしないと思います。見られた人は宏ちゃんだけなんですか?」
 美希也は2人に対して、不安そうな顔で聞いた。
「あぁ、そうだ。」
 小狼は美希也に答える。
「そうだったんですか。李さんそれより、輝さんの女物の着物はどうなさるんですか?」
「お前のいや、千代菊さんのを借りれば良いだろ。」
「えっ?千代菊の物をですか。千代菊に聞いてみるよ。」
「千代菊はお前だろ。」
「李さん、一様、別人って事にしてあるんですよ。」
「そ、そうか。じゃなくって、花枝さんに聞いてみたら、どうだ?」
「はい、そうですね。聞いておきます。」
 美希也は小狼に申し訳無さそうに言う。
「さっきから思ってたんやけど、小狼はどうして、そんなに遅かったんや?」
 今まで黙っていた輝は小狼に聞いた。
(僕も、そう思ってたんだ。あれっ!?これは何だろう?)
 美希也は輝の荷物の脇に置いて有る物を見て、不思議そうに思った。
(この荷物って、まさか、着物じゃないのかなぁ。この人、無意識に持って来たんだね。)
 美希也が言う前に、輝が小狼に言った。
「あのさぁ小狼、この荷物って、着物だよな。お前言っとる事、矛盾してるんとちゃうか。しかも、これは女物じゃないんか。こんなん、探してたから、遅おうなったんか。ちゃうんか?」
「あぁ、そうだよ。悪いか。もしもの時の為に、お前が必要なんじゃないかと思って、呉服屋に注文してあったのを取りに行ってたんだ。」
「こんな無駄遣いして、執事の偉さんに怒られないのか?」
「別に、怒られないさ。去年、お前に誕生日プレゼントを渡せなかったそのお詫びだよ。」
「しかも、これは京友禅じゃないか。これって、高いんじゃないのか。それに、京都で有名な友禅作家が作った着物だよな。確か、これを作った人は仁村伊織さんって、いう人だった気がするな。」
 輝は顎に手を当てながら、言った。
「あっ!その人は千代菊の着物を作った事がある人です。」
 美希也が輝の代わりに答える。
「へぇ、そうなのか。岡村いや、千代菊の着物をデザインした人だったのか。」
 小狼は美希也に感心する。
「そうですよ。でも、それより、李さん?」
 美希也は輝を横目で見ながら、小狼に聞く。
「何だ、岡村。」
「輝さんはどうして、千代菊みたいな事をやってるんですか。それが凄く僕は気になってるんです。」
「あぁ、何だ、その事か。それだったら、本人に聞いてみたら、どうだ?」
「聞けないから、困っているんじゃないですか。意地悪しないで、戴けますか?」
 美希也は泣きそうな顔で言った。
「本人に怒られるかもだけどな、アイツ、頼まれたら、断り切れない正確なんだ。」
「それは貴方も一緒ですよね。その事は千代菊から聞きました。」
「千代菊さんは酷い人だな、岡村に告げ口するとは。元はといえば、お前のせいで、」
「あっ、それはごめんなさい。」
「まぁ、それは良いんだけど、アイツ、あの白峰のお嬢さんからなんて、呼ばれているか知ってるか?」
「さぁ、そこまでは知りません。」
「秋桜と書いて、コスモスっていう源氏名を付けて、可愛がっているらしい。でも、これはあくまで、学校での話だぞ。笑えるだろ?」
「うん、まぁ、そうですね。」
(僕は何か、輝さんが可愛そうに思えて来たよ。)
 美希也は輝の事を可哀想に思った。
「ねぇ、2人共、何をこそこそしてるんだよ?」
 輝は怪訝な表情で2人に言う。
(何で、僕まで噛みつかれなくちゃ、いけないんだよ?えっ、僕は何かしたの?でも、本当に悪いのは李さんの方だよ。)
 美希也は小狼をちらりと、横目で見ながら困った顔で思った。
「ん?何だ、聞こえてたのか。」
 小狼は自分が悪いとは、全く思っていない様だ。
「僕は実はさぁ、この前、桜さんから小狼は昔、すっごい嫌な子だったって聞いたよ。あぁ、良い子になるんじゃなかったの?この事、桜さんに報告しても良いかなぁ?」
「アキごめん。それだけは止めてくれ。頼むよ。」
「ア、アキって、呼ぶのはくれるなら、許してやっても、別に、良いんだけどな?」
 輝は顔を赤らめて、恥ずかしそうに言った。
「いや、それは譲れないな。」
「なっ、何でやの?」
(2人は仲が悪いんだか良いんだか、僕には判らないよ。)
 美希也は呆れた顔で思った。
第3話に続く。
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自己紹介:
プロフィールは旧ホームページから引用*一部変更あり

HN:碧 茶々(みどり ちゃちゃ)(別館2件は心美名義で。)
出身地:大阪府東大阪市(完全な関西人じゃないです。)

年齢:20代

血液型:A型

星座:山羊座

干支:寅年

身長:149cm(身長低いな。)

誕生石:ガーネット(柘榴石)

誕生守護石:オニキス(黒メノウ)

好きなパワーストーン:ローズクォーツ(紅水晶・紅石英)

好きな食べ物:チョコレート,チョコレート菓子,洋菓子,和菓子,甘い料理,辛い料理,酸っぱい料理,こんにゃく,鮭,豚肉,鶏肉,寿司,中華料理など

好きな飲み物:コーヒー(昔より、平気になった。),抹茶,紅茶,ハーブティー,はぶ茶,緑茶

苦手な食べ物:牛肉

好きな男性のタイプ(出会いは求めてません。):駄目な事は駄目って、言ってくれる人。例として、コーヒーで苦そうな味な物をあたしが選んだ場合、「俺がそれを頼むから、お前が選ぶなよ。」って言ってくれる方が良いです。ジャニーズアイドルで理想に近いのは、TOKIOの末っ子の松兄と智也です。後、嵐の相葉ちゃんかなぁ!?

好きなジャンル:ファンタジー,ラブコメ,ミステリー,サスペンス,オカルトなど

好きな漫画:少女漫画(カードキャプターさくら,学園アリス,好きです鈴木くん!!,セーラームーンシリーズなど),少年漫画(エデンの檻,金田一少年の事件簿,國崎出雲の事情,女王蜂,名探偵コナン,境界のRINNE,クロスゲーム,ひぐらしのなく頃に,ロザリオとバンパイア,BLOODシリーズ[BLOOD+・BLOOD-Cなど],ポケットモンスターシリーズなど)

好きな小説:放課後シリーズ(探偵の女の子が三原千春みたいな子です。),少年探偵セディシリーズ(主人公が江戸川コナンみたいな女の子です。)など

好きなドラマ:恋して悪魔,花より男子,金田一少年の事件簿など

好きな女優・男優:中山優馬(アイドルで、パーソナリティーもやっている。今の優馬君も、幼い頃の優馬君も、大好きです。),小池徹平(ミュージシャンでもある。),仲間由紀恵,松嶋奈々子,知念侑李(優馬君と同じジャニーズのユニット3人組のNYCの子です。侑李君は天使だとあたしは思います。因みに、優馬君は小悪魔だと思います。で、山ちゃん(山田君)は両方だと思います。),あっちゃん(前田敦子),ゆうこちゃん(大島優子)など

好きなアイドルグループ:嵐(基本、全員好きです。),TOKIO(TOKIOでお気に入りは松岡さんと城島さんと長瀬君),KinKi Kids,V6,中山優馬w/B.I.Shadow,NYC(NYCでお気に入りは優馬君と侑李君),AKB48(最近、お気に入りはAKB48のメンバーで、演歌歌手でもある岩佐美咲ちゃん)など

好きな声優:くまいもとこ,松本梨香,坂本真綾,高山みなみ,林原めぐみ,折笠愛,佐藤ゆうこなど

好きな歌手:坂井泉水(ZARD),倉木麻衣,GARNET CROW,ゆず,竹内まりやなど

好きなゲーム:ポポロクロイス物語(主人公が江戸川コナンみたいに乗り物の運転が得意な木之本さくらみたいな天然王子様),マザー2,ポケットモンスター,ゼルダの伝説など

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