＜大きなクリスマスツリー＞

　桜と小狼は学校の帰りだった。桜は急に立ち止まった。

小狼「さくら？急に立ち止まって、どうかしたのか？」

桜「あれだよ？小狼君！」

　桜は目を輝かせながら、クリスマスツリーを指さしながら言った。

桜「大きくて、綺麗なクリスマスツリーだよ～！」

小狼「ホントだな！綺麗なクリスマスツリーだ！」

　2人は嬉しそうにクリスマスツリーを観ていた。

桜「でも、私の家にあんなの無いもん！私の家にも、大きなクリスマスツリーが欲しいなぁ！」

小狼「馬鹿な事を言うな！さくら！俺の家の部屋には、大きなクリスマスツリーを置くスペースが無い！今は小さいので、精一杯だ！何時か、俺が買ってやるから！今は我慢しろよ！」

（俺だって、本当は大きなクリスマスツリーが欲しいよ！）

桜「はい、解ったよ！今は我慢するよ！小狼君！でも、何時か、買ってね？約束だよ！」

小狼「ああ、解った！約束するよ！さくら！」

　知世はこっそり、物影から寂しそうに観ていた。

知世（さくらちゃん、私を置いて、先に帰ってしまわれるなんて、酷いですわ！ああ、さくらちゃんが羨まし過ぎますわね！李君が憎いですわね！私も、そろそろ、彼氏の１人くらいは作らないといけませんわね！ああ、私、超絶心細いですわ～！私が愛しい殿方が出来るまで、李君には申し訳ないのですが、今はさくらちゃんを好きでいても、良いでしょうか？）

　知世はただ、２人の姿を見守るしかなかった。

小狼「さくら、風邪をひくといけないから、そろそろ、帰るぞ！」

桜「は～い！」

　２人は手を繋いで帰って行った。

知世「来年はきっと、私にも、幸せが訪れる事を心から祈りますわ！頑張れ、私！」

　知世は独り、決意するのだった。

終わり

＜恋人はサンタクロース＞

　小狼が自分の家で桜を待っていて、暫く（しばらく）すると、知世からメールが届いた。早速、緑の携帯のメールをみた。

小狼（大道寺の奴はまた、ろくでもない事を書いているんだろうなぁ？）

「何々、＜恋人はサンタクロースの巻＞何だ、それは？『さくらちゃんをサンタクロースの格好をさせました。我ながら、良い出来なんですのよ。もう直ぐ、さくらちゃんいや、可愛いサンタさんが李君のお家に参りますわ。素敵なクリスマスプレゼントを持って、・・・。』サンタクロースのカッコだと？去年と全く、一緒じゃないか！大道寺！」

　後、桜が着たら、扉を開ける様にと知世のメールに書いてあったのだ。

小狼「さくらからのクリスマスプレゼントか！楽しみだなぁ！」

　小狼は桜のクリスマスプレゼントにわくわくしながら、期待をしていたのである。その後に桜から、『少し、遅れるけどね。ごめんね。小狼君。』とメールで連絡が届いたのである。

　小狼は（また、大道寺の仕業だろうなぁ！）と思った。

　食卓用のテーブルの上はクリスマスの御馳走とキャンドルとワイングラスが置かれていたのである。クリスマスの御馳走とキャンドルは解るが、何故か、ワイングラスが置かれているのは凄く奇妙である。小狼は中学生で未成年である。これは小狼が気分だけでも、楽しもうという事で置いた物であろう。ただし、ワイングラスに注ぐのは、林檎の炭酸飲料である。

小狼（林檎の炭酸飲料にしたけれど、今日は寒いし、紅茶のダージリンを使った温かいアップルティーにしよう！）

　小狼はテーブルの上に用意した二組のワイングラスを片付けると、ティーセットを用意したのである。小狼はアップルティーには生の赤い林檎と紅茶のダージリンを使う様だ。ダージリンは紅茶のシャンパンといわれるものだ。

小狼「アップルティーの用意はこれで良しと、後はさくらがやって来るのを待つだけだなぁ！それまで、ソファで座って待っていよう！」

　数時間後、桜が小狼の部屋にやって着た。桜は小狼の部屋のドアの近くのインターホンを鳴らした。

桜「こんばんは～！小狼君！メリークリスマス！あれ～？インターホンを鳴らしたのに、返事がないよ！小狼君、居ないのかなぁ？」

　桜はインターホンを鳴らしたのに一向に出てこない小狼の事を心配に思った。

桜（もしかして、小狼君、待ち草臥（くたび）れて寝ちゃってるのかなぁ？それを確かめる為にスルーのカードさん使っちゃっても、良いよね？小狼君！）

　桜がとんでもない事を考えていると、いきなり、ドアの鍵の開く音がした。

小狼「こんばんは！さくら！メリークリスマス！さくら、寒かっただろ？早く、中へ入れ！」

　小狼は桜を自分の部屋に招き入れた。

桜「お邪魔します～！小狼君の部屋の中、良い匂いがするよ！」

　小狼の部屋の中は紅茶の良い香りが漂っていた。

桜「ねえ、小狼君！どうして？直ぐにドアを開けてくれなかったの？」

小狼「やかんの音で聞こえなかったんだ！ごめんな！さくら！」

桜「そうか！良かった！」

小狼「良かった？」

桜「あのね、実はね、私の事を小狼君は待ち草臥れて寝ちゃってるのかなぁ？って、さくらは小狼君の事を正直疑ってたの！」

小狼（うっ、何で気付いたんだ？俺はまだ、何も言って無いのに！）

　小狼は桜の言った事に焦りを感じた。

桜「あっ、でも、それは気にしなくて良いよ！小狼君！私は気にしてないから！」

小狼（うわ～、怒ってる！正直に俺が謝るべきか？でも、遅れてきたさくらの方が悪いだろう！）

「いい加減、機嫌を直してくれ！さくら！折角、お前の為にクリスマスの御馳走を作ったんだから！一緒に食べような？さくら！今、アップルティーを入れるから、座って待ってろ！」

桜「は～い！あのね、私、小狼君にクリスマスケーキを作ったの！ブッシュ・ド・ノエルだよ！」

小狼「有り難う！さくら！後で、一緒に食べような？さくら！」

（あれ？何か、俺と被ってる様な気がするなぁ？まあ、良いか！）

桜「あれ～？小狼君も、ブッシュ・ド・ノエルを作ったんだ！小狼君のはチョコレートケーキなんだ！私はね、白いブッシュ・ド・ノエルを作って来たんだよ！後で小狼君のも、一緒に食べようよ？」

小狼「ああ、そうだな！」

桜「後ね、私からクリスマスプレゼントが有るんだよ！」

小狼「俺も、さくらにクリスマスプレゼントが有るんだ！それはまず、夕食の後にしよう！冷めないうちにどうぞ！」

桜「頂きます！」

小狼「好きなものを俺が取ってやるからな！」

（今年は失敗したけれど、来年のクリスマスイブと来年のクリスマスこそは、さくらと一緒に２人っきりで過ごしてみせる！絶対に大道寺とケルベロスとさくらの兄貴には、邪魔させないぞ！）

　小狼は心の中で聖夜に誓ったのである。

終わり